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題詠100☆2021 投稿100首

2011年からの毎年2月のお楽しみ「題詠100」!(旧「題詠マラソン」「題詠blog」)
現在はFacebook上で行われているイベントですが、今年も特別に許可をいただきTwitter上でお題に参加させていただくこととなりました。五十嵐さん、そして取り次いでくださった中村さん、ありがとうございます。

11回目の参加となる今年は、すっかりスランプになってしまって題詠をすること自体が難しく、結局期間内完走ができなかったのですが、なんとか年内ぎりぎりには完走することができました。
以下、今年の題詠100首です。(番号:お題/短歌)


2021-001:求/たいせつな人はつぎつぎいなくなり求めるほどに消える陽炎
2021-002:悲/脳みそのなかにひとつも悲しみはなくてないのになぜ眠れない
2021-003:店/あの角にまた新しい店は建ち冬の記憶も明け渡される
2021-004:普通/普通にというその普通が遠くって花のない薔薇園を歩いた
2021-005:絵/絵のなかの彼女はしあわせそうに笑むわたしが描いたわりにそんなに
2021-006:宛/ひきだしの奥でしずかに疼きだす宛先を書けない封筒は
2021-007:隔/隔絶のないせかい春のベーカリーショップでトングをかちかち鳴らす
2021-008:案/別案を提示できれば承認をしてくれますか、さきの告白
2021-009:きっかけ/きっかけはいつもあなたがくれたからこのさよならも先に言ってよ
2021-010:回/決められた場所から逃げることもせず浮き沈みする回転木馬

2021-011:外/外側のわたしはいつも晴れていて内側にさす傘を持たない
2021-012:洩/木洩れ日のようなかなしさ とくべつな「すき」をあなたは笑って流す
2021-013:匹/一匹と二人の部屋が一匹と一人になってすこしさむいな
2021-014:料理/チーズ料理をひたすら食べる嫌われるほど重くなりたい夜もある
2021-015:机/淡い午後が机の上に連れてきた春に終わりを急かされている
2021-016:拡/二本指できみの心を拡大しちいさく隠れた本音をさがす
2021-017:ガラス/振動で割れてしまえるガラスならよかった 震える手を握り込む
2021-018:区/明らかな区別はあって選ばれないほうの個体として爪を切る
2021-019:未/未発達なわたしでもいい雨の日は胎児の形でふとんに潜る
2021-020:忙/忙しいって便利な呪文 一ヶ月LINE見ないね冬が終わるね

2021-021:国会/極寒の今日は雪国会えないでいる言い訳をくれる神様
2021-022:族/なんとなく八年は過ぎなんとなくきみとは家族になれないと知る
2021-023:導/穏やかな笑顔で切り落とされていく怒りへ続くこの導火線
2021-024:脚/脚本が次々と書き直されてハッピーエンドに辿り着けない
2021-025:昼/お昼時だったことだけ覚えてる呆気なく終わりは告げられて
2021-026:挙/欠点はいくらでも挙げられるけどそこを嫌いになれない だめだ
2021-027:宜/この店を出れば他人に戻るから適宜解散、その後は自由
2021-028:立/もう三本電車を逃し立ち尽くす「じゃあね」を言ってくれないせいで
2021-029:姓/姓の欄にきみの苗字を書いてみる 書いてみるだけすぐに消すだけ
2021-030:ウイルス/さみしがりウイルスが暴れたせいで数年ぶりに送ったLINE

2021-031:主/主電源ごと切るように鮮やかに「もう会わない」と言ってください
2021-032:恒/記憶から零れた光で生きていく遠く恒星だったあなたの
2021-033:多分/多分もう会わない人だ毎日を一緒に生きるはずだったひと
2021-034:信/信頼はたったひとことでぐらついてどうしようもなく白みゆく空
2021-035:替/もうきみを明るく照らせなくなって取り替えられるための接触
2021-036:裁/外灯もない甘いだけの道をゆく裁かれる日を遠く知りつつ
2021-037:送/まだ浅い夜の向こうに見送ったあなたのいない朝焼けがくる
2021-038:反/反りかえる心を無理に撫でつけてきみに嫌われないための嘘
2021-039:憶/逃げ出してしまいたくなる色のない記憶の果ての街の路地裏
2021-040:コミック/いつだって返せるはずのコミックを返せないまま他人になった

2021-041:斜/心臓が斜めに揺さぶられるようなときめきをただ待ってしまって
2021-042:該/本日も該当者ゼロ 内側に風の煩い冬枯れを抱く
2021-043:慕/横恋慕みたいなことばを弄ぶあなたの声だけはすきだった
2021-044:平均/なにもかも平均的な人間の営みらしく飾る秋桜
2021-045:項/すきなとこきらいなとこを項目に並べてそうか、まだすきなのか
2021-046:描/脳内の受信感度が鈍くなりきみを正しく描画できない
2021-047:旦/このままじゃ壊れてしまう強い手を離してほしい一旦でいい
2021-048:出/閉じたままでもうつくしいりんどうのずるいね、声も出せないでいる
2021-049:徒/一生徒くらいの距離で名を呼んでくれていいのに くれたらいいのに
2021-050:技/競技でもないのに待たせないように全速力で打ち込むLINE

2021-051:グリーン/なんの役にも立てなくてあのひとのフェイクグリーンにすら負けている
2021-052:燃/いつだって笑っているよ(脳内で山のひとつも燃やしたけれど)
2021-053:工/工程をいくつも飛ばして辿り着くさよならだからこんな軽いの
2021-054:娘/娘より娘らしいと言うひとの前より痩せた肩を支える
2021-055:拾/捨てるならきれいに捨てて 捨てられたことにも気づかないままでいい
2021-056:速/ありがとう そんなに速く立ち去ってくれてきちんと傷つけてくれて
2021-057:順番/順番にかなしみはくる気づいたらもう大波に攫われていて
2021-058:箋/関係に答えがほしい出すことのない便箋に文字を吐き出す
2021-059:復/十五分顔を見るためだけに乗る往復三時間のJR
2021-060:六/六月のあなたは嫌いやさしげな声にも湿り気が漂って

2021-061:いっぱい/流れゆく雲の数すらわからない脳があなたでいっぱいすぎて
2021-062:禍/外灯がつくる闇なら飲み込んでくれるでしょ禍々しい恋も
2021-063:正/正解がわからないまま走ってるレールに足を削られながら
2021-064:笹/笹の葉に切られたゆびがまだ痛む返せないままの太い傘の柄
2021-065:否/否定形で話すあなたと過ごす日々さむさは冬のせいだけじゃない
2021-066:ウルトラ/ウルトラの母と呼ばれて雨の日のツインテールを嫌いになった
2021-067:炒/炒めればなんでもだいたい食べられる もらった悪意も刻んで混ぜる
2021-068:去/どのひとも去るときの背中はきれい またひとり離れてゆく背中
2021-069:農/指先でつくる農園 会話のないカフェに独りと独りで過ごす
2021-070:筋/無心にはなれなくなった いんげんの筋を取るときすら浮かぶひと

2021-071:女/「彼女とか呼び方はどうでもいいよ」ずるいあなたはいつもやさしい
2021-072:物語/物語にはなれなくて君を待つこともないいつもの朝の駅
2021-073:滞/返信が滞るまま動かないトーク画面にまた雪はふる
2021-074:圧/あのひとの機嫌で気圧も変わるからいつもの頭痛はたぶんそのせい
2021-075:忌/忌避剤があるといいのに何気なく入った店に聞く君の声
2021-076:ごみ箱/すこしだけ泣きたくなってごみ箱に捨てたきのうを取り出してみる
2021-077:上/なんでもない存在なのだと思い知る上機嫌で語られる裏切り
2021-078:菓/あのひとがくれる菓子よりあたたかくあまいひとりの夜のココアは
2021-079:隠/絞り出す言葉の隅に隠してた恋のしっぽがひらひらゆれる
2021-080:尚/尚更に離れたくなる遠からずこいびとになってしまうあなたと

2021-081:あさって/あさっての自分の気持ちもわからない変わるものしかないこの世界
2021-082:太/食べただけ太る体だ君からの甘いことばも断ちたい夜更け
2021-083:欧/欧米のツリーのように大袈裟に3、2、1でともる恋の火
2021-084:顔/顔よりも中身が好きというひとの黒子のひとつまで好きだった
2021-085:蘇/蘇る さくら、青空、エスケープ 年賀はがきにはるかな名前
2021-086:簿/知らぬ間に薄まっていた感情を取り戻す火のない冬の朝
2021-087:苦手/やさしすぎるあなたが苦手 見合うほどのことばひとつも返せなくなる
2021-088:膚/指さきの皮膚から溶けて沁み込んでくる沈黙のきみの感情
2021-089:粋/強すぎる百合の香みたいに放たれる無粋な人の恋を請う声
2021-090:稼/フル稼働してくれないか忘れたいあなたの夢を食べ尽くすバク

2021-091:看/ゆさぶられ看守が鍵をひらきそう閉じ込めた想いのねむる檻
2021-092:装/早足で目を伏せてゆく赤緑白で装う冬のビル街
2021-093:ラベル/「もういらないもの」とラベルを貼っていく消えてくれない思い出たちに
2021-094:規/どこまでも真面目なきみが憎らしい規則正しい寝息でさえも
2021-095:価/価値観を共有できない人ばかり増えて震える葉のない木立
2021-096:年/なにもかも不調で終える一年が明ければきみは戻るのですか
2021-097:働/働いて働いてまた働いていれば忘れていられる不在
2021-098:詫/詫びるなら詫びるからどうかたいせつなひとを攫わずにいて、神様
2021-099:昇/つかまえた上昇気流に身を任せきみと雲まで飛ぶ初夢を
2021-100:嬉/年越しを共に迎える嬉しさを知れたことだけが今は嬉しい


以上100首、2月17日スタート、最初からかなりスローテンポで、秋以降でがんばったのですが、結局12月31日のギリギリ年内にやっとゴール!
今年の裏テーマは「切なさ」という設定でした。
毎年のお楽しみ「題詠100」、今年も参加できてとても嬉しかったです。ありがとうございました!


★以下、これまでの裏テーマ一覧です。(備忘録)

2011 恋歌
2012 恋歌
2013 学生・学校
2014 大人短歌
2015 痛
2016 色
2017 キャラクターを立てる(女性/30代後半/会社員)
2018 水・液体
2019 五感
2020 食
2021 切なさ
| 題詠100☆ | 16:46 | comments(0) | - |

題詠100☆2020 投稿100首

2011年からの毎年2月のお楽しみ「題詠100」!(旧「題詠マラソン」「題詠blog」)
現在はFacebook上で行われているイベントですが、今年も特別に許可をいただきTwitter上でお題に参加させていただくこととなりました。五十嵐さん、そして取り次いでくださった中村さん、ありがとうございます。

10回目の参加となる今年は、自分で設けた裏テーマが難しく、なかなか進まなかったのですが、なんとか今年も最後まで完走することができました。
以下、今年の題詠100首です。(番号:お題/短歌)


2020-001:君/オムレツがつくれることを自慢する君を褒めつつ並べる料理
2020-002:易/手の熱とあまい言葉に崩されてしまえ容易く煮物のように
2020-003:割/水割りとソーダ割りで乾杯をするわたしだけが割り切れない夜に
2020-004:距離/少しずつ距離はちぢまり近頃は無言でたのむあん肝ぽん酢
2020-005:喉/喉元を過ぎても未だちくちくと熱すぎる紅茶みたいなあなた
2020-006:鋭/鋭さは時にやさしさでもあって美しく刃を受け取るトマト
2020-007:クイズ/難解なクイズを解いていくようにスパイスの名を当ててゆくひと
2020-008:頑/頑なな思考回路をほどくためミルクココアをかろかろ溶かす
2020-009:汁/味噌汁に端切れ野菜をぜんぶ入れ中途半端な今日を弔う
2020-010:なぜ/なぜこんなきれいに晴れた日のカフェのランチで別れたいとか言うの

2020-011:域/領域が侵されてゆくプレートに広がるドレッシングの浅瀬
2020-012:雅/終わったら優雅なランチ、と唱えつつ日曜朝を仕事で潰す
2020-013:意地悪/ほんのちょっと意地悪したくなった日に辛めの四川麻婆豆腐
2020-014:客/観客はかぼちゃと思えと言われてもかぼちゃは溜息なんかつかない
2020-015:餌/まるで餌 ランチタイムに食い込んだ作業をしつつ流し込むパン
2020-016:グラス/瓶ビールふたつのグラスで分け合ってそういうふうにきみと暮らしたい
2020-017:境/境界はぼんやりしててちょうどいい間仕切りなしで詰める弁当
2020-018:位/第5位のクレープ屋さんにきみと行き第5位らしさを論じるデート
2020-019:立派/土台だけやたら立派なデコレーションケーキに乗せる小粒のいちご
2020-020:梅/水筒に熱い緑茶をたっぷりと入れてあなたと梅を見にゆく

2020-021:冊/一冊を読み終え気づく冷え切ったコーヒーこれはいい本だった
2020-022:自慢/絹さやのスジを取るのが上手いことだけは確かに自慢していい
2020-023:陥/ネガティヴに陥る夜に蜂蜜とホットミルクはやさしい薬
2020-024:益/損益の外にあるものドリップで淹れた珈琲、猫とこいびと
2020-025:あなた/このあいだ零した涙でできているあなたが舌でうけとる雪は
2020-026:岩/岩よりも硬い決意で本日はふわふわパンケーキを食べに行く
2020-027:慰/おつかれなわたしがわたしを慰めるために与えるソフトクリーム
2020-028:刷/夕食はチキンフィレオとポテトM〜印刷されたサラダを添えて〜
2020-029:オープン/店名が変わっただけの居酒屋の何度目だろう新規オープン
2020-030:建/新しいマンションが建つ駅前に消えてしまった古喫茶店

2020-031:芝居/渋いだけの紅茶で流すこいびとの芝居がかった別れの理由
2020-032:委/ひとつきりのバニラアイスを分けあえば委ねてもいいこのあとのこと
2020-033:虐/被虐的感情を打ち消しながら食むレバニラの苦さと臭さ
2020-034:頃/もうそろそろいい頃合いと蓋を取るひとに別れを切り出せずいる
2020-035:為/それぞれの行為の先に道はある バスを逃してカフェへと向かう
2020-036:撮/空を撮ることでわたしは鳥になるわたあめの雲切り裂いて飛ぶ
2020-037:あべこべ/あべこべな感情にミルクを足して混ぜればすこし苦いカフェオレ
2020-038:私/おはようといつものパンを齧りつつわたしが今日もはじめる私
2020-039:威/威厳あるしっぽの動き ついさっきご飯をくれと鳴いてたくせに
2020-040:スパイ/スパイさながらの動きで朝食をかき込み飛び出していくあなた

2020-041:拒/拒まれてはいないのだろう好かれてもいないのだろう雨降りのカフェ
2020-042:司/眠れないわたしはわたしを司ることもできずに空く缶ビール
2020-043:個/一個ずつ並べるナッツ感情も整理整頓してしまえたら
2020-044:施/施しのことばがほしい夜の果て遠いあなたの蜜に似た文字
2020-045:攻/浮ついた攻防戦も懐かしく胸にドーナツ抱えてねむる
2020-046:わいわい/わいわいと気ままに踊る前髪を撫でつけ撫でつけ食べるラーメン
2020-047:溢/会いたさが溢れ溢れて音にしてしまわぬように飲むハイボール
2020-048:殴/白湯までがにがい清廉潔白な夢に殴られ目覚めた朝は
2020-049:兼/朝食と昼食を兼ねているパンがついに夕食まで兼ねだした
2020-050:削/体温を削られてゆく冬の日のきみのかわりに肉まんを買う

2020-051:夫婦/ひび割れに気づいたままで放置する戸棚の奥の夫婦茶碗を
2020-052:冗/受け取られなかったチョコを食べている冗談みたいな青空の下
2020-053:掌/掌の中ゆるやかに滅びゆく義理のふりした板チョコレート
2020-054:がらくた/がらくたのような言葉も鍋に入れ煮込めばきみを温められる
2020-055:譲/譲ります 卵色したひだまりと眠れる春の特等席を
2020-056:処/見送りのわたしは何処にも行けなくて鳥のかたちのまんじゅうを買う
2020-057:ソプラノ/薄荷色した早春の公園をゆくソプラノの鼻歌とゆく
2020-058:峰/仮定的さよならなどを語り合う巨峰ひとつぶ分け合いながら
2020-059:招/不用意にゆうべ招いたさよならを追い払うよう焼く目玉焼き
2020-060:凶/きりきりと嫉妬に焼ける胃袋を凶悪に甘いココアで埋める

2020-061:まじめ/まじめしか取り柄がなくてごめん このお酒は友人としてのお酒
2020-062:催/閑散とした催事場お返しに買われるどころじゃないチョコレート
2020-063:幽/自らを幽閉しつつ春は過ぐ甘いお菓子で誤魔化しながら
2020-064:父/この春は会わないことが愛となる父のポストに入れる煎餅
2020-065:一部/一部だけちぎられ放置されたパンみたいだ君に会えないわたし
2020-066:硬/考えることに疲れてしまったな硬い蜜柑をひたすらに剥く
2020-067:デビュー/ハイボールデビューを果たすニュースしか声のない静かなワンルーム
2020-068:緊/ほうじ茶がほぐしてくれる気がつけばどこか緊張している日々を
2020-069:裸/焼いたそら豆を裸にするときのきみの短い爪、似ているな
2020-070:板/痛みばかり受け止めている食材もまな板もわたしよりは強いな

2020-071:能/才能の話をしつつうつくしくメロンソーダのアイスを崩す
2020-072:吉/吉凶を問えば間違いなく凶のふたりだ ぬるいビールを注ぐ
2020-073:採/また今日も採用されないさよならをぶつけるためにあおる酎ハイ
2020-074:せめて/さみしさは生地に練り込み型を抜きせめてかわいくほっこり焼こう
2020-075:擦/夜が来るたびにビールを流し込み擦り傷だらけの心を洗う
2020-076:充/圧倒的充電不足 カフェでいい十分でいい髭面でいい
2020-077:武器/日々生きるための武器です小分けした冷凍ごはんはそこそこ強い
2020-078:添/思い出せなくなっていく添えた手の湿りも舌の甘さもなにも
2020-079:内/内側に夜を湛えてあたたかなミルクではもう眠くなれない
2020-080:擁/さみしさと初秋の夜を溶かし込むホットワインはとおい抱擁

2020-081:札/改札が窓越しに見えるカフェにいてわたしを探すあなたを探す
2020-082:秒/数秒の躊躇いで黒焦げになるトーストみたいだきみの嫉妬は
2020-083:剤/五、六粒錠剤を飲みくだす夜ネガティヴに殺されないように
2020-084:始末/後始末ばかり気になる甘やかで甘すぎて毒みたいな恋は
2020-085:臭/ふたりとも臭ければ気にならないとうそぶくひとと餃子を食らう
2020-086:造/恋われても恋にならない人といるカフェの窓辺に佇む造花
2020-087:栽/もういちど苗から栽培するようにきみと二度目の日々をはじめる
2020-088:しばらく/しばらくは会わないと決め浮ついた胃を殴るためのブラックコーヒー
2020-089:里/浮ついた(でも切実な)溜息を吐く里芋を煮転がしつつ
2020-090:植/たった一時間のランチで植えられたきみが根を張り芽吹いてしまう

2020-091:呪/しあわせな呪いのように降る愛があますぎて壊れてしまう舌
2020-092:タッチ/記憶ごとレタッチアプリで消していくパピコも海も夏もあなたも
2020-093:属/付属物的な呼び名にもう慣れて掬っても掬っても灰汁は浮く
2020-094:錠/薄ピンク色のやさしい錠剤であるはずの痛みに蓋をする
2020-095:俗/低俗なわたしの舌と胃に沁みる深夜3時の辛いラーメン
2020-096:機嫌/いつもよりご機嫌な声で放たれる言い訳を聞く 芋を潰しつつ
2020-097:詐/詐欺ですね料理は苦手とか言ってこんなに凝ったスパイスカレー
2020-098:鈍/鈍痛が身の内を焼く届かない返事を待って空ける酎ハイ
2020-099:任/カフェラテの湯気にほぐされすべてから解任されたわたしに還る
2020-100:詠/思いつくまま食べ物を詠み込めばちいさくぐぅと返す胃袋


以上100首、2月2日スタート、最初は調子よく進んでいたのですが、途中からかなりスローテンポになり、12月2日に若干遅刻しつつゴール。
今年の裏テーマは「食にまつわるもの(食べ物・飲み物・料理・食材・キッチン・食べるシーン等)」という設定でした。序盤は順調だったのですが……全部に「食」を入れるの、意外と難しかった……
毎年のお楽しみ「題詠100」、今年も参加できてとても嬉しかったです♪


| 題詠100☆ | 12:51 | comments(0) | - |

題詠100☆2019 投稿100首

2011年からの毎年2月のお楽しみ「題詠100」!(旧「題詠マラソン」「題詠blog」)
現在はFacebook上で行われているイベントですが、今年も特別に許可をいただきTwitter上でお題に参加させていただくこととなりました。五十嵐さん、そして取り次いでくださった中村さん、ありがとうございます。
今年で9回目の参加となります。

以下、2019年の題詠100首です。(番号:お題/短歌)


2018-001:起/冷水を顔にぶつける 起き抜けに浮かんだ人を追い払うよう
2018-002:覚/硝子一枚向こうは海だ真っ青な世界で覚えたての名を呼ぶ
2018-003:作/これほどに雨は濁って初めての作り笑顔がいたいさみしい
2018-004:いいね/ほんのゆびさきだけ繋ぐのもいいねいつもどこへも飛んでゆけそう
2018-005:恩/ああこれが恩返しですか硬い背をくれたらすこし溺れてもいい
2018-006:喜/喜んだふりだけ上手くなる夜のたんさんたんさん昇りゆく泡
2018-007:劣/あたたかな劣等感だけ抱きしめて体育座りする海の底
2018-008:タイム/真夜中のタイムラインは深海でわたしは泡を吐くだけの貝
2018-009:営/吐きながらする納品も胸を掻く悲しみも営みという川
2018-010:場合/その場合別れることは必然で瞼に雨を忍ばせておく

2018-011:黄/黄信号だとわかってたこのひとの飛び込めば深すぎる湖
2018-012:いろは/はなのいろは移るばかりで冷淡なあなたにあげる濡れたあじさい
2018-013:枝/水滴をふるい落として枝先にふうわりひらく春ふたつ、みつ
2018-014:淵/胃の内に言えないことを沈めつつ覗き込むあのひとの深淵
2018-015:哀/冷めていく湯船にふやけ溶けてゆけ 可哀想ってやさしいことば
2018-016:掘/内堀にぬるんだ水を濁らせて笑えば深く深くなる皺
2018-017:ジュニア/こないだよりすこし小さいから「嫉妬ジュニア」と名付け泳がせておく
2018-018:違/足首を夜に浸してあなたとの違いをひとつひとつ数える
2018-019:究/ネガティブの種を究明する夜更け記憶の深く深くへ潜る
2018-020:和歌山/和歌山産みかんをひとつ平らげて午後の追試にきみは飛び込む

2018-021:貫/液状化した心臓を貫かれ抑えても浸出する恋だ
2018-022:桐/生きていた祖母のすべての彩りを湛えて眠る古桐箪笥
2018-023:現/現実で「おやすみ」を告げあったあとまた会うために夢へと潜る
2018-024:湖/晴れた日の湖(うみ)は明るいさみしさを波打ち際に溶かして歩く
2018-025:こちら/こちらからかけることのない番号をジンジャーエールの海に沈める
2018-026:棄/棄てていく ふたり一緒の未来とかあぶくみたいな言葉の記憶
2018-027:鶴/水色の折鶴ひとつ泡沫のきみの窓辺にしんと浮かせて
2018-028:帰/もう帰る場所はなくって賑やかなタイムラインの川を眺める
2018-029:井/奥底に井戸水のごとひたひたと溜まった恋をいま汲み上げる
2018-030:JR/今朝もまた会えない理由を探してるJR線の遅延と雨と

2018-031:算/打算的恋がしたいな雨の夜声が聴きたくならないような
2018-032:庵/「庵野さん」がわからない人たちと飲む(逃げちゃダメだ)と呟きながら
2018-033:検/検温のため握られた手首からわたしわたしと波打ついのち
2018-034:皿/一皿の八宝菜と炒飯を分け合う雨の降らないふたり
2018-035:演/ときめきを演じ始めていつからか胃の奥深く夕立ちは降る
2018-036:あきらめ/ゆっくりと溜まる廃液あきらめの夜を何度もなんども越えて
2018-037:参/もう降参してもいいかなすぐにでも泣きだしそうな雨雲の下
2018-038:判断/電飾がきれいな夜の判断を間違いだったと知る朝の雨
2018-039:民/座和民で始発を待って五杯目のビールの泡を君と見つめる
2018-040:浦/体じゅう津々浦々へ沁み渡る炭酸みたいな恋だ、くるしい

2018-041:潔/潔く手も肩も体も髪もあなたが触れた記憶を洗う
2018-042:辺/ふたりきり川辺に座る 空きれい、くらいしか言えない距離感で
2018-043:権/「委員長だから」あなたに傘を貸す職権乱用気味の言い訳
2018-044:ゴールド/ゴールドのくじらはゆるり飛んでゆく目蓋の裏のひなたの海に
2018-045:承/起承転結の承から始まった嵐みたいな君の告白
2018-046:沖/額に手かざして沖を見るときのどこかへ帰りたいね、あなたも
2018-047:審/人生の審判が見てないうちにふたりで雨に濡れる路地裏
2018-048:凡/凡庸なわたくしですが目から星くらいは生める夜なのですよ
2018-049:順/順当にいけばそろそろ泥濘の日々から逃げていいはずの日々
2018-050:痴/痴れ者と思わば思え血まなこで鴨川沿いに探すはんざき

2018-051:適当/適当な相槌でした適当な僕たちらしい終わりのカフェで
2018-052:誠/誠意ってなんですかねぇ三度目の裏切りを聞くシャワーのあとで
2018-053:仙/水仙が奏でる春に背を押されスキップで飛びこす水たまり
2018-054:辛/香辛料たくさん入れて日曜の昼泣くためのカレーを煮込む
2018-055:綱/もういいか 綱引きの手を離すからあなたはひとり幸せになれ
2018-056:ドーナツ/ドーナツをぶちぶちちぎる甘すぎた人との日々を断ち切るために
2018-057:純/純粋に傷つくことを愉しんで湯船に溺れゆく深夜二時
2018-058:門/広い背に耳を預けて流されて門限の十時は過ぎていく
2018-059:州/足先がこたつの中で触れていてつるつるに剥く温州みかん
2018-060:土産/お土産のストラップはまたひとつ増え飛べない日々をきらきら飾る

2018-061:懇/懇願のようなさよなら塗り付けて雨のあがった街へ まぶしい
2018-062:々/延々とふたりで眠りつづけたい茨に包まれた雨の部屋
2018-063:憲/なにひとつ持たずにつよくあることを違憲の波は削り続ける
2018-064:果実/連絡のひとつも寄越さないひとに黒い果実をやさしく渡す
2018-065:狩/星狩りの夜 あなたからぽつぽつと生まれる星を耳に捕らえて
2018-066:役/それぞれの役を演じている日々の今日は川辺でぼーっとする役
2018-067:みんな/「みんな」ってやさしい括りに包まれてときどき棘を引っ掛けている
2018-068:漬/誰も傷つけたくはないぼきぼきと折った胡瓜を浅漬けにする
2018-069:霜/霜月の夜は長くて会いたさを蹴散らすためのコンビニスイーツ
2018-070:宅/宅配便待つ雨の午後わたしからわたしへ届くamazonの箱

2018-071:封/追いそうな心に強く封をして独りよがりな文字列を消す
2018-072:レンタル/雨雲をレンタルしたい思い切り泣けたらあとは晴れるしかない
2018-073:羅/一面の綺羅星みたい賑やかで静かでさみしいタイムラインは
2018-074:這/夜這星落ちることなく遠い地できみは知らないベッドに沈む
2018-075:辻/辻風に踊る赤い葉もうどこにだって行けないヒールの踵
2018-076:犯/犯人の顔で海辺の崖に立つ罪をいくつか葬るために
2018-077:忠/お互いのためにならない忠告をラリーのように打ち合うランチ
2018-078:多少/やさしさのスープを煮込むスパイスに多少の嘘と嫉妬を混ぜて
2018-079:悦/悦楽の川を流れる見たくない岸辺から目を逸らしたままで
2018-080:漁/大漁だ持ちきれないほどたくさんの怒りをかかえねぐらへ帰る

2018-081:潰/今話さなくていいことで淡々とお昼休みは潰されてゆく
2018-082:にわか/立ち止まることも必要 いまだ熱だけのふたりに降るにわか雨
2018-083:課/放課後から今日が始まる青空に発声練習溶け込んでゆく
2018-084:郡/「郡」があり「字」がある地に越してきてそれでも街をふるさとと恋う
2018-085:名詞/人波を固有名詞で掻き分けて「あなた」や「君」じゃないひとを抱く
2018-086:穀/穀物の波にのまれるあと二キロ痩せたい秋の真昼間の夢
2018-087:湾/湾岸を手を繋ぎゆく波もなく風もかすかなふたりになって
2018-088:省/海風とやさしい嘘を省いたら完璧だった最後のデート
2018-089:巌/厳格な君を崩してみたくなるラベンダー色のバスタブのなか
2018-090:トップ/ブラトップひとつ買い足し晩秋に会えないひとを過去へと仕舞う

2018-091:勘/勘のいいひとは嫌いだ何回も好きじゃないって言っているのに
2018-092:醤/なにもかも足りない世界に生きているきみは食べずに醤油を垂らす
2018-093:健/グラウンドから春色の声はして微睡みをたゆたう保健室
2018-094:報告/報告のような好意を告げられて(あ、いま海とかすごく行きたい)
2018-095:廃/廃物の流れる川辺に佇んで夜ごと思考の濁りを泳ぐ
2018-096:協/協調性欄に△つけられたふたりでつくる屋上の虹
2018-097:川/死体とかふつうに上がる河川敷だった僕らの青い舞台は
2018-098:執/「明日話したいことがある」きみからの処刑執行前夜の電話
2018-099:致/致し方ない事情にて必然のように離れてゆくね、あなたも
2018-100:了/了解です(と、とりあえず言っておく理解できないさよならもある)


以上100首、2月2日スタート、途中ちょいちょいお休みしつつ、10月26日にゴール。
今年の裏テーマは去年裏テーマで苦労したのもあり、簡単に、「五感/視・聴・嗅・味・触の五つの感覚。」でした。

毎年のお楽しみ「題詠100」、今年も参加できてとても嬉しかったです♪


| 題詠100☆ | 12:59 | comments(0) | - |

題詠100☆2018 投稿100首

2011年からの毎年2月のお楽しみ「題詠100」!(旧「題詠マラソン」「題詠blog」)
現在はFacebook上で行われているイベントですが、今年も特別に許可をいただきTwitter上でお題に参加させていただくこととなりました。五十嵐さん、そして取り次いでくださった中村さん、ありがとうございます。

8回目の参加となる今年は、4月に歌集を刊行したこともありなかなか進まなかったのですが、なんとか最後まで完走することができました。
以下、今年の題詠100首です。(番号:お題/短歌)


2018-001:起/冷水を顔にぶつける 起き抜けに浮かんだ人を追い払うよう
2018-002:覚/硝子一枚向こうは海だ真っ青な世界で覚えたての名を呼ぶ
2018-003:作/これほどに雨は濁って初めての作り笑顔がいたいさみしい
2018-004:いいね/ほんのゆびさきだけ繋ぐのもいいねいつもどこへも飛んでゆけそう
2018-005:恩/ああこれが恩返しですか硬い背をくれたらすこし溺れてもいい
2018-006:喜/喜んだふりだけ上手くなる夜のたんさんたんさん昇りゆく泡
2018-007:劣/あたたかな劣等感だけ抱きしめて体育座りする海の底
2018-008:タイム/真夜中のタイムラインは深海でわたしは泡を吐くだけの貝
2018-009:営/吐きながらする納品も胸を掻く悲しみも営みという川
2018-010:場合/その場合別れることは必然で瞼に雨を忍ばせておく

2018-011:黄/黄信号だとわかってたこのひとの飛び込めば深すぎる湖
2018-012:いろは/はなのいろは移るばかりで冷淡なあなたにあげる濡れたあじさい
2018-013:枝/水滴をふるい落として枝先にふうわりひらく春ふたつ、みつ
2018-014:淵/胃の内に言えないことを沈めつつ覗き込むあのひとの深淵
2018-015:哀/冷めていく湯船にふやけ溶けてゆけ 可哀想ってやさしいことば
2018-016:掘/内堀にぬるんだ水を濁らせて笑えば深く深くなる皺
2018-017:ジュニア/こないだよりすこし小さいから「嫉妬ジュニア」と名付け泳がせておく
2018-018:違/足首を夜に浸してあなたとの違いをひとつひとつ数える
2018-019:究/ネガティブの種を究明する夜更け記憶の深く深くへ潜る
2018-020:和歌山/和歌山産みかんをひとつ平らげて午後の追試にきみは飛び込む

2018-021:貫/液状化した心臓を貫かれ抑えても浸出する恋だ
2018-022:桐/生きていた祖母のすべての彩りを湛えて眠る古桐箪笥
2018-023:現/現実で「おやすみ」を告げあったあとまた会うために夢へと潜る
2018-024:湖/晴れた日の湖(うみ)は明るいさみしさを波打ち際に溶かして歩く
2018-025:こちら/こちらからかけることのない番号をジンジャーエールの海に沈める
2018-026:棄/棄てていく ふたり一緒の未来とかあぶくみたいな言葉の記憶
2018-027:鶴/水色の折鶴ひとつ泡沫のきみの窓辺にしんと浮かせて
2018-028:帰/もう帰る場所はなくって賑やかなタイムラインの川を眺める
2018-029:井/奥底に井戸水のごとひたひたと溜まった恋をいま汲み上げる
2018-030:JR/今朝もまた会えない理由を探してるJR線の遅延と雨と

2018-031:算/打算的恋がしたいな雨の夜声が聴きたくならないような
2018-032:庵/「庵野さん」がわからない人たちと飲む(逃げちゃダメだ)と呟きながら
2018-033:検/検温のため握られた手首からわたしわたしと波打ついのち
2018-034:皿/一皿の八宝菜と炒飯を分け合う雨の降らないふたり
2018-035:演/ときめきを演じ始めていつからか胃の奥深く夕立ちは降る
2018-036:あきらめ/ゆっくりと溜まる廃液あきらめの夜を何度もなんども越えて
2018-037:参/もう降参してもいいかなすぐにでも泣きだしそうな雨雲の下
2018-038:判断/電飾がきれいな夜の判断を間違いだったと知る朝の雨
2018-039:民/座和民で始発を待って五杯目のビールの泡を君と見つめる
2018-040:浦/体じゅう津々浦々へ沁み渡る炭酸みたいな恋だ、くるしい

2018-041:潔/潔く手も肩も体も髪もあなたが触れた記憶を洗う
2018-042:辺/ふたりきり川辺に座る 空きれい、くらいしか言えない距離感で
2018-043:権/「委員長だから」あなたに傘を貸す職権乱用気味の言い訳
2018-044:ゴールド/ゴールドのくじらはゆるり飛んでゆく目蓋の裏のひなたの海に
2018-045:承/起承転結の承から始まった嵐みたいな君の告白
2018-046:沖/額に手かざして沖を見るときのどこかへ帰りたいね、あなたも
2018-047:審/人生の審判が見てないうちにふたりで雨に濡れる路地裏
2018-048:凡/凡庸なわたくしですが目から星くらいは生める夜なのですよ
2018-049:順/順当にいけばそろそろ泥濘の日々から逃げていいはずの日々
2018-050:痴/痴れ者と思わば思え血まなこで鴨川沿いに探すはんざき

2018-051:適当/適当な相槌でした適当な僕たちらしい終わりのカフェで
2018-052:誠/誠意ってなんですかねぇ三度目の裏切りを聞くシャワーのあとで
2018-053:仙/水仙が奏でる春に背を押されスキップで飛びこす水たまり
2018-054:辛/香辛料たくさん入れて日曜の昼泣くためのカレーを煮込む
2018-055:綱/もういいか 綱引きの手を離すからあなたはひとり幸せになれ
2018-056:ドーナツ/ドーナツをぶちぶちちぎる甘すぎた人との日々を断ち切るために
2018-057:純/純粋に傷つくことを愉しんで湯船に溺れゆく深夜二時
2018-058:門/広い背に耳を預けて流されて門限の十時は過ぎていく
2018-059:州/足先がこたつの中で触れていてつるつるに剥く温州みかん
2018-060:土産/お土産のストラップはまたひとつ増え飛べない日々をきらきら飾る

2018-061:懇/懇願のようなさよなら塗り付けて雨のあがった街へ まぶしい
2018-062:々/延々とふたりで眠りつづけたい茨に包まれた雨の部屋
2018-063:憲/なにひとつ持たずにつよくあることを違憲の波は削り続ける
2018-064:果実/連絡のひとつも寄越さないひとに黒い果実をやさしく渡す
2018-065:狩/星狩りの夜 あなたからぽつぽつと生まれる星を耳に捕らえて
2018-066:役/それぞれの役を演じている日々の今日は川辺でぼーっとする役
2018-067:みんな/「みんな」ってやさしい括りに包まれてときどき棘を引っ掛けている
2018-068:漬/誰も傷つけたくはないぼきぼきと折った胡瓜を浅漬けにする
2018-069:霜/霜月の夜は長くて会いたさを蹴散らすためのコンビニスイーツ
2018-070:宅/宅配便待つ雨の午後わたしからわたしへ届くamazonの箱

2018-071:封/追いそうな心に強く封をして独りよがりな文字列を消す
2018-072:レンタル/雨雲をレンタルしたい思い切り泣けたらあとは晴れるしかない
2018-073:羅/一面の綺羅星みたい賑やかで静かでさみしいタイムラインは
2018-074:這/夜這星落ちることなく遠い地できみは知らないベッドに沈む
2018-075:辻/辻風に踊る赤い葉もうどこにだって行けないヒールの踵
2018-076:犯/犯人の顔で海辺の崖に立つ罪をいくつか葬るために
2018-077:忠/お互いのためにならない忠告をラリーのように打ち合うランチ
2018-078:多少/やさしさのスープを煮込むスパイスに多少の嘘と嫉妬を混ぜて
2018-079:悦/悦楽の川を流れる見たくない岸辺から目を逸らしたままで
2018-080:漁/大漁だ持ちきれないほどたくさんの怒りをかかえねぐらへ帰る

2018-081:潰/今話さなくていいことで淡々とお昼休みは潰されてゆく
2018-082:にわか/立ち止まることも必要 いまだ熱だけのふたりに降るにわか雨
2018-083:課/放課後から今日が始まる青空に発声練習溶け込んでゆく
2018-084:郡/「郡」があり「字」がある地に越してきてそれでも街をふるさとと恋う
2018-085:名詞/人波を固有名詞で掻き分けて「あなた」や「君」じゃないひとを抱く
2018-086:穀/穀物の波にのまれるあと二キロ痩せたい秋の真昼間の夢
2018-087:湾/湾岸を手を繋ぎゆく波もなく風もかすかなふたりになって
2018-088:省/海風とやさしい嘘を省いたら完璧だった最後のデート
2018-089:巌/厳格な君を崩してみたくなるラベンダー色のバスタブのなか
2018-090:トップ/ブラトップひとつ買い足し晩秋に会えないひとを過去へと仕舞う

2018-091:勘/勘のいいひとは嫌いだ何回も好きじゃないって言っているのに
2018-092:醤/なにもかも足りない世界に生きているきみは食べずに醤油を垂らす
2018-093:健/グラウンドから春色の声はして微睡みをたゆたう保健室
2018-094:報告/報告のような好意を告げられて(あ、いま海とかすごく行きたい)
2018-095:廃/廃物の流れる川辺に佇んで夜ごと思考の濁りを泳ぐ
2018-096:協/協調性欄に△つけられたふたりでつくる屋上の虹
2018-097:川/死体とかふつうに上がる河川敷だった僕らの青い舞台は
2018-098:執/「明日話したいことがある」きみからの処刑執行前夜の電話
2018-099:致/致し方ない事情にて必然のように離れてゆくね、あなたも
2018-100:了/了解です(と、とりあえず言っておく理解できないさよならもある)


以上100首、2月15日スタート、途中かなり長いお休みをし、9月にまた走り出して11月21日にゴール。
今年の裏テーマは「水・液体に関するもの」と設定したのですが、歌集刊行スランプもあって全てに入れることができず、完走することを優先しました(*>ω<) 来年はまたがんばりたいなぁ…!
毎年のお楽しみ「題詠100」、今年も参加できてとても嬉しかったです♪


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題詠100☆2017 投稿110首

2011年からの毎年2月のお楽しみ「題詠100」!(旧「題詠マラソン」「題詠blog」)
今年も特別に許可をいただき、Twitter上でお題に参加させていただくこととなりました。
五十嵐さん、そして取り次いでくださった中村さん、ありがとうございます。


001:入/入口を見落としたまま歩いてる それなりにしあわせなはずだった
002:普/普通ってなんだったろうおそろしく普通のつもりで生きてきたけど
003:共/共感は求めていない大人の恋なんて綺麗なものですらない
004:のどか/のどかだな 猫は寝てるし晴れてるし心は平らで風すらないし
005:壊/パソコンと冷蔵庫が壊れた夜にググれば直せるわたしと気づく
006:統/レイヤーの統合みたいに簡単に被ったネコよわたしにおなり
007:アウト/犬を飼えばアウトと聞いて猫を飼う そんな理由で買われた命
008:噂/既婚とか子持ちとか噂のなかのわたしはやけにしあわせそうだ
009:伊/伊達メガネ掛けて隔てていたいほど世界は少し美しすぎる
010:三角/消しゴムを三角に切る 尖ってることが価値にもなり得る社会

011:億/一億円当たったけれど今朝もまた駅のコンビニで買うメロンパン
012:デマ/室長の恋の噂を聞きながらデマだとわたしだけが知ってる
013:創/なにひとつ創生しない営みに「あい」なんて音ひびかせないで
014:膝/肘膝がやけにカサつく必要とされていないと知らせるために
015:挨拶/にこやかに挨拶をする晴れの日も雨の日も空が落ちてくる日も
016:捨/計算上そろそろ拾う神が来る 捨てる神ばかりいた人生に
017:かつて/きららかな二月の催事場をゆく かつてないほど険しい顔で
018:苛/ふわふわのクッション集めその奥に密かに埋める苛々の種
019:駒/駒だとは言われないけど駒だろう またひとつ履き潰れたヒール
020:潜/真っ白な湯船に思考と肉体を潜らせ探すあたらしいわたし

021:祭り/お祭りの夜店はこわい魂を甘く煮詰めてリンゴにまぶす
022:往/往復の切符を握りしめながら手招きされた恋に飛び込む
023:感/感情のすべてを平らにしてからの強さ不変に凪ぐ海となる
024:渦/感情の渦にのまれていく夜を幾度越えれば来る春だろう
025:いささか/いささかのヒビなら込みで愛したい無骨なひとのざらつく素肌
026:干/突然の拒絶に雨は止まなくて部屋干しのわたしは濡れたまま
027:椿/髪先に椿油を塗り込んで乾くばかりのわたしを愁う
028:加/ひとつまみくらい加えてちょうどいいはずの嫉妬をぶちまけている
029:股/たいせつにされないことに慣れていた二股を驚けないほどに
030:茄子/まだ誰の所有物でもないうちにお腹いっぱい食べる秋茄子

031:知/なけなしの知識と知恵を掻き集め遅刻理由を創作してる
032:遮/遮断機があなたとわたしを隔てたらこれで最後と決めていました
033:柱/決壊の近い目蓋をいつだって冷やしてくれる柱の影は
034:姑/姑息だと知りつつ喘ぐ手のひらは未だこんなに冷えているのに
035:厚/できるならわたし全てを隠したいファンデーションを厚く重ねる
036:甲斐/抗った甲斐もなくまた落ちている軽い言葉を操るひとに
037:難/難点を次々挙げて張るバリアわたしはわたしがいつでも嫌い
038:市/有休で市役所に行くぷかぷかと他人の町でまた生きている
039:ケチャップ/ケチャップの終わりを予測できなくて殺害現場となる皿の上
040敬/年寄りは敬うべきよ、と後輩の声聞こえきて冬枯れの朝

041:症/重症だ 微熱と震え あなたから初めてじゃないくちづけがきて
042:うたかた/手をつなぎそのまま眠るうたかたの人の望みは深海めいて
043:定/定石のようなことばに撫でられて欲しがっていたものを忘れる
044:消しゴム/消しゴムのカスを集めて練り消しを作る感じでできてるわたし
045:蛸/こんなにも酔うのはあなたの前でだけなのに茹で蛸なんて言われる
046:比/比類なき独占欲が湧き出でて遠くなることばかりを選ぶ
047:覇/愛されてない選手権を制覇した女子会帰りヒールも折れた
048:透/透明になりたい誰にも見えなくて誰も傷つけないまま眠る
049:スマホ/もう声も手触りも遠くなりそうだきみはスマホの文字だけのひと
050:革/本革のブーツを買ってまたひとつわたしの形になるものを得る

051:曇/突然の曇天きみと話すたび変化ばかりのこころの天気
052:路/しあわせじゃない末路なら知っていて人魚姫なら共感できる
053:隊/隊列を組むほど仲間がいることを見上げた空が見せつけてくる
054:本音/幸せや普通や本音を探してる 探してばかりで終えるのだろう
055:様/「おひとり様ですか」に「はい」と明瞭に答える少し強くはなった
056:釣/真夜中の自販機だけはやさしくてお釣りも少し多めにくれる
057:おかえり/おかえりと言う人のない毎日にまたひとつ増えてしまうぺんぎん
058:核/きらきらの二月の街を突き進む核スイッチを押す面持ちで
059:埃/女子力は埃をかぶって寝ていますうっかり春を逃したせいで
060:レース/ひらひらのレースの服を眺めてる薄く目を開け眉根を寄せて

061:虎/どちらかと言えば虎より鯉なので六甲おろしは嗜む程度
062:試合/全試合敗退でした挑むたび和やかに微笑まれてしまう
063:両/両の手に海を湛えてまだ淡くおさなさ残すあなたを掬う
064:漢/漢検も英検も持たぬわたくしの雪原のごと輝る資格欄
065:皺/皺ひとつひとつ気になるスカートをぐしゃぐしゃにして隣に座る
066:郷/けれどもう許してほしい故郷を持たずここから生きてゆくこと
067:きわめて/様々な要素も未来も見きわめて選んだひとの誰もが去った
068:索/日曜の真昼の枯渇 詮索はしたくないけど何してますか
069:倫/あたたかなゆびが背中を伝うとき倫理の鍵のつとひらく音
070:徹/完徹の肌を鏡に映しつつ眠れぬことも病と思ふ

071:バッハ/しんしんと嫌味は降りて頭髪はバッハの如く膨らみ始む
072:旬/春未だ遠くひとりのリビングでわたしの旬はわたしが決める
073:拗/拗らせた心に鈍く添うような曇天のもと駅までをゆく
074:副/ラーメンと餃子の副産物として何故か隣で眠る後輩
075:ひたむき/ひたむきに爪の長さを揃えてる土曜の底の冷たい部屋で
076:殿/さむさとはさみしさ冬が来るたびに殿堂入りのフレーズを噛む
077:縛/思い込むことで束縛は甘くなり歩きだせないわたしをつくる
078:邪魔/底の底の底の底まで落ちるのを邪魔するように腹を揉む猫
079:冒/入口はまだ見つからずいつまでもこの冒険が始められない
080:ラジオ/ラジオから朝がただようドリップの落ちるまで乾く目を伏せて待つ

081:徐/すぐそばを徐行で過ぎる全速の好意は傷を与えるばかり
082:派/結婚はできない派でなくしない派でそれはさておき買う抱き枕
083:ゆらゆら/ゆらゆらとピアスはゆれる触れたがる迂闊な猫を捕えるために
084:盟/去年まで盟友だった友からのレース模様のマリッジカード
085:ボール/ボール球ばかりを寄越すこの人は結局わたしじゃないのだろうな
086:火/うちがわに火を抱いている泣くときも食べてるときも微笑むときも
087:妄/月曜を妄信してる土日には気配すらないあなたを待って
088:聖/聖域と名付けたそこで僕たちは人知れず汚れてばかりいる
089:切符/切符だけ大事に持っているけれどしあわせ行きの電車が来ない
090:踏/詮索をヒールの踵で踏み潰し今日もひとりの部屋へと帰る

091:厄/春もまた厄介である用もなく心ばかりがやけに浮き立つ
092:モデル/人生の指針を決めたひとり用モデルルームのチラシを見つつ
093:癖/吐き出したマイナスをいつもスルーするあなたはじっと対極にいる
094:訳/翻訳をせずに流れていく母の呪文のようないつもの小言
095:養/心には枯れた蕾が蔓延って来るはずのない養分を待つ
096:まこと/狡猾なあなたの態度は抜かりなくまことしやかに愛されている
097:枠/必要のない枠線を消してゆくを世界に足して
098:粒/粒ぞろいだと言われてた入社時のわたしだけまだ芽が出ていない
099:誉/すかすかな誉め言葉だけ上手くなる君はわたしと離れるべきだ
100:尽/尽くすほど離れるひとと知っていて音も立てずに落ちゆく椿

------------------------------------------
寄り道コース

101:轢/春の野を俯き俯き歩きつつ轢死した花々を葬る
102:鼎/鼎峙したまま凍る刻おそらくはただの知り合いとか言うのだろう
103:スパナ/脳天をスパナで殴られたような甘すぎる嘘ばかりつかれる
104:欅/木漏れ日の欅並木は眩しくてたましいたましい飛んでいきそう
105:饒/饒舌なときほど嘘を吐いているあなたがいちばん愛らしいとき
106:鰆/手作りのお弁当から円満をはんなり主張してくる鰆
107:蠱惑/蠱惑的眼差しを以て見るひとに睨むななどと叱られており
108:嚢/積み上げた土嚢を容易く押し流し決壊ばかり起こす涙腺
109:而/而るのちしあわせになる姫たちのおしなべて見目麗しきこと
110:戴/現実におとぎ話は起こりえずかなしい愛をひとつ頂戴



以上寄り道コースも含めて110首、2月2日スタートで、2月14日にゴール。
今年も2月中の完走を果たしました!

さてさて今年の裏テーマは何でしょうか〜?
あまりこれ!とわからないくらいのふわっとしたテーマかもしれません…?

※追記:
Twitter上で正解がでました!ヽ(・∀・)ノ
今年の裏テーマは「キャラクターを立てて詠む(女性/30代後半/会社員)」でした!
どうでしょう、ちゃんと表現できているかな…?

毎年2月の楽しみ、今年も参加できてとても嬉しかったです。
来年も楽しめますように(*´∇`)
| 題詠100☆ | 13:49 | comments(0) | - |

題詠100☆2016 投稿100首

2011年から5年間、毎年参加させていただいてきた「題詠blog」。
今年からFacebookへ移行されるということで、わたしはもう参加できないなぁと嘆いていたのですが、主催の五十嵐さんのご好意によりお題だけお貸しいただけることになりました!五十嵐さん、そして取り次いでくださった中村さん、ありがとうございます。

そんなわけで今年はTwitter上のみで100のお題に沿ってゆるゆると作歌を楽しませていただきました。
毎年2月の楽しいイベントに今年も参加できて嬉しいです♪(*´ω`)


001:地/銀色のエスカレーター地下街へ潜れば恋に溢れる二月
002:欠/今晩はやけにさみしい青白く欠けた月など見たせいですか
003:超/超越のオレンジ高すぎるヒール誰もが変わりたいのでしょうね
004:相当/相当にくたびれ褪せているけれど磨き直せるふたりだろうか
005:移/新しい鉢に移せば芽吹くのか灰白色に凍えた恋は
006:及/ああ黒に及ぶべからずじわじわと広がる闇を湛えた腹部
007:厳/厳かにやさしく白くあたたかな肉まんひとつ分け合う夜更け
008:製/鉄製の赤いバッグを食い込ませ満員電車で向かう戦場
009:たまたま/たまたまです 出会ったことも好きなのも白髪をからかい合う日常も
010:容/寛容の海にたゆたう仄白い月の視線に撫でられながら

011:平/冬枯れの国道沿いに咲く色を数えてゆけば 平気 歩ける
012:卑/新緑は卑怯じゃないか泣き出したきみをふちどる正しいひかり
013:伏/ファインダー越しに捕らえる伏せがちなガラスに架かる褐色の月
014:タワー/カラフルなことばのタワーを積み上げてわたしに春を連れてくるひと
015:盲/手さぐりで触れて手さぐりで突き放す盲目だったと白い言い訳
016:察/思いつく限りの緑で作られた診察室に眠る戦略
017:誤解/誤解なきよう金赤はカーマインではないわたしもあなたではない
018:荷/荷ほどきの手をとめ窓を開け放ち卵色した春を呼び込む
019:幅/前をゆくチャコールグレーの肩幅を目の奥深く焼きつけ歩く
020:含/二月にもかすかに春は含まれて空へ空へと膨らむ木の芽

021:ハート/何もかも知っているよと目を閉じるハート模様を背負う白猫
022:御/金色の「御出席」には線を引く おめでとうしあわせにならないで
023:肘/世界中ゆうやけ色につつまれてあなたの肘にいま触れる肘
024:田舎/またひとつ消えゆく田舎 今朝からは木造じゃない灰色の駅
025:膨/風化したことばを選ぶ空っぽの心が淡く膨らむように
026:向/薄紫色のカーテンゆれている息もできずに向かいあう部屋
027:どうして/薄墨に沈みこむ街 好きなんてどうして言ってしまったんだろう
028:脈/脈絡もない恋でした唐突に火花が散って始まるような
029:公/公園の青いベンチは空じゃなく深海 沈みこむわたしには
030:失恋/白日に損傷として届けます失恋休暇を許可願います

031:防/どうしても防ぎようのない波でした青く心を染め上げられて
032:村/この村にひとつしかない雑貨屋の前のベンチで見上げる緑
033:イスラム/ただ食べて歌って眠れどこまでも青一色のイスラムの空
034:召/いろいろと隠し味とか入れたけど真っ黒だけどさあ召し上がれ
035:貰/貰いたいものならひとつ闇ばかり広がる夜におやすみの音
036:味噌/味噌を溶く荒れた手を愛しむように淡くくちづけくれるこいびと
037:飽/飽和する七色の虹 その声に後ろから抱きしめられるとき
038:宇/漆黒の宇宙にぽかりと浮かんでるような夜です ふとんに潜る
039:迎/ゆびさきを迎えるように目を瞑る オレンジの残像、そして熱
040:咳/すこし咳き込む夜の道さっきまで風邪のあなたに包まれていた

041:ものさし/真っ白なものさしを押し当てられてわたしは間違ってばかりいるね
042:臨/三ヶ月ぶりのあなたに臨むとき心は固く青い手触り
043:麦/小麦粉か何かでできているこれは温くて白くてあなたのようだ
044:欺/欺いてほしい青すぎる空だから正しさだけの日々じゃないから
045:フィギュア/しとしととみずいろの窓かたまった笑顔のフィギュアひとつ飾った
046:才/才能をひとつひとつと捨てていく淡くあなたに愛されたくて
047:軍/どれくらい待てば攫ってくれますか朱く気弱な我が軍師殿
048:事情/いろいろと事情があって真っ白なひかりを浴びに向かう自販機
049:振/すききらいすききらいすき毎夜ごと振り子のように滲む心音
050:凸/凹凸のない闇に沈み込んでいる着信ひとつ与えられずに

051:旨/諦めることだけ上手くなってゆきしらじらと足す旨味調味料
052:せんべい/しみしみとせんべいを食むそれなりに青い春から遠い二人で
053:波/波のようにすきだと告げて砂色の孤独を指に置いてゆくひと
054:暴/足りなくて終わった会話 夕闇にまたさみしさが暴れはじめる
055:心臓/取り出して眺めてほしいどんなにか君に色づく心臓だろう
056:蓄/青色のひかりを内に蓄えてその指に放たれる日を待つ
057:狼/雪の朝まっ赤なコートにつつまれて会いにゆくわたしの狼に
058:囚/後ろから囚われておくパステルの甘さがほしい春の宵には
059:ケース/ごく稀なケースであった 初めてのランチそれからさみしい夕日
060:菊/菊を買う 離れることを愛として葬るまでの白い逡巡

061:版/初版本集める趣味を持つひとに初めてなんて鈍く吐く嘘
062:歴/歴代の彼氏を指折り数えてるあなたに秘めたままの色彩
063:律/油彩画のような窒息 約束を律儀に守られていく日々は
064:あんな/あんなひともうすきじゃない みずいろの朝焼けに溶く嘘になるよう
065:均/均一のやさしさじゃなく執着の暗く爛れた心を見せて
066:瓦/くすむたび砕いてしまうぱきぱきと夜ごと瓦礫のこころが騒ぐ
067:挫/骨までも真白く凍りつきそうだ挫いた恋にあてがう湿布
068:国歌/唯一の歌を掲げよ唇を国歌に染めて死にゆく僕等
069:枕/赤い目をひらきはじめる朝が射す 眠れないのは枕のせいだ
070:凝/凝固したこころに春をそそぎこみ耳を澄まして雪解けを待つ

071:尻/帳尻を合わせるようなやさしさをしらじら浴びる折檻のあと
072:還/後悔をしていいのなら色付いてしまう間際のふたりに還る
073:なるほど/なるほどね、としか言えない 純白の心が欲しかったと言われても
074:弦/潤む目に上弦の月 腹の奥までいっそ鉄色に染まれよ
075:肝/うららかな午後のカフェにて肝試しみたいに白い友の報告
076:虜/春色のシフォンスカートひるがえし本の虜のきみを連れ出す
077:フリー/アルコールフリーを飲んでいたくせにほっぺが赤いわけを知りたい
078:旗/白旗を揚げるしかない不機嫌も怒りも嘘も許されていて
079:釈/いつまでも明けない夜だこいびとの泥の色した釈明の果て
080:大根/大根の葉っぱを落とす土色の今日の記憶を断ち切るように

081:臍/ことばすら与えられずに寝付けずに臍の辺りで暗雲は立つ
082:棺/しあわせのぶんだけ受け取る苦しさを黒い棺に毎夜並べる
083:笠/電灯の笠の埃を拭わない母の料理はいつも茶色い
084:剃/ぼんやりと剃刀の刃を眺めてる透明な陽の差し込む部屋で
085:つまり/さっきから二時間話していることのつまりクリアに別れたいのね
086:坊/赤ん坊ではないようね靴下は散らかすけれど自分で履ける
087:監/生温い部屋に収監されたまましずかに死んでしまう色彩
088:宿/宿無しの猫の強さで青空の日にはあなたに撫でられにゆく
089:潮/ほっぺたの紅潮めまいに似た熱の理由ならもう知っているけど
090:マジック/あとはもう乾くばかりだマジックのキャップを失くしたような終局

091:盤/グリーンで溢れた街だ3ミリに縮んで歩く基盤の上は
092:非/非売品だった心を売りに出す赤札つけておまけもつけて
093:拍/赤くなるほどに掴んだ手首から脈拍だけがやけに伝わる
094:操/操縦桿にぎれば墜落するようなわたしをつつむ空のあなたは
095:生涯/生涯であとどのくらい泣くのだろう夜更けの青く冷えた枕に
096:樽/金色のシロップ樽の日常に漬けられてもう歩き出せない
097:停/停車駅だったわたしを通過して赤の他人に戻りゆくひと
098:覆/透明な春の気配に覆われてしずかに洗われてゆく視界
099:品/本日の不機嫌をやり過ごすため色鮮やかな一品を足す
100:扉/憂鬱の冬にくすんだ僕たちをやり直すため扉をひらく


以上100首、2月6日スタートで、2月29日にゴール。
今年もぎりぎり2月中の完走を果たしました!

今年の裏テーマは「色」でした。
お題に気を取られすぎて、つい入れ忘れて詠み直したりと、かなり裏テーマに苦しめられました…
去年の「痛」の方が圧倒的に詠みやすかったなぁ…(;>ω<)

毎年2月の楽しみ、今年も参加できてとても嬉しかったです。
来年も楽しめますように(*´∇`)
| 題詠100☆ | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0) |

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